xAPI/cmi5<経験データ統合システム>
(*1) ADL: Advanced Distributed Learning
xAPI が生まれて来た背景には、急速に発達した IT環境に対応させるニーズがあったことと、一方で、従来より人材育成のためにはフォーマルな教育のみでは一部分でしかないという課題がありました。 「70:20:10 モデル」は社会人教育において、人材の育成にはどの領域の学習が寄与しているか? という分析です。これによると、フォーマルな教育は 10%、インフォーマルな教育が 20%のみであり、実際に実力が付くのは経験領域の 70%というものです。これら 70+20%の部分までトレースするには旧来の LMSでは限界が大きいため、最新の IT 技術を活用して多様な学習経験履歴を集約できる xAPI の規格が必要とされてきたのです。
xAPI ステートメント定義は、 「誰が( Actor )」「何を( Object )」「経験したか( Verb )」という体系で記述される決まりになっています。追加の情報は Context や Result、そして timestamp に記載されます。
複数の LRS間にてデータを共有するために Verb の利用は統一しておく必要があります。ジンジャーアップでは日本語説明の Verb一覧表を作成しておりますので、こちらをご利用ください。
https://xapi.co.jp/verbs/
cmi5 の学習管理システムを利用すると、例えば、一つの学習コースにおいて、チャプター1は自社のコンテンツを、チャプター2は外部の有料コンテンツを、チャプター3に官公庁のサイト情報を、そしてチャプター4に海外のサイトのコンテンツを利用することが出来ます。その上で、すべての学習経験履歴を LRSに記録して管理できます。
・複数の学習経験履歴データを統一形式で、詳細かつ大量に LRS ( Learning Record Store ) 記録します。
・データ統合によるビッグデータにおいて、データ間の相関関係の分析を行います。
・過去ビッグデータの分析から、現時点での人員と同様の先輩の傾向から予測ができます。
・詳細履歴の集計により行動実績の分析を行います。
・複数の LRS間ではデータの共有ができます。
等々、従来困難であった行動の視える化を進めることが可能となります。
・学習/トレーニング実績と営業業績を比較することにより、パフォーマンスが不足している人への教育再受講を指示するなどのフィードバックを実施することが可能です。
・人事属性と学習経験履歴のクロス集計により、職制・年代別等での学習経験履歴の比較分析ができます。 大・中・小の各組織別の集計アウトプットが可能です。
・組織内ポータルにて発信されている情報が従業員個々にどれだけ認知・理解・共感されているか、サイトのアクセス履歴とアンケートやテストとの組み合わせによって、その関係性が明確になります。
・従業員意識調査と個別業績との相関関係分析により、ハイパフォーマーと一般従業員との意識差の特徴点を探ることができます。
・さらには、LRSに蓄積された情報を利用することにより、翌年度の組織改訂のシミュレーションが実施可能です。実異動の前にスキルや意識の分布を確認し、必要に応じて緊急の教育を実施する等、効果的な施策が実現されるのです。
・また、長期キャリアパスの観点から5年上の先輩の情報を確認した上で、現対象者が受講すべき教育/異動の候補等を抽出することができます。
・学校教育や企業における資格取得においては、学習成績と共に独習情報や eポートフォリオなどの情報を組み合わせてグラフ化し、それぞれの関係を把握することに有効です。
・過去ビッグデータの集計から、現時点での学生/従業員と近い傾向の先輩データを抽出し、今後、同様の傾向を取る可能性が高いものとして参考にすることができます。
・小学生から高校生までの 12年間の生徒を対象にする「K-12」の学習システムでは、生徒や保護者、講師とチューター(進路指導者)等の全員が参加できるポータル機能を重視する傾向にあります。
また、教材コンテンツの視聴状況を集計することにより、次回の改訂時に、繰り返し参照されている部分は追加して説明、参照が少ない部分は圧縮するなどの教材の改善を図ることができます。
詳細データ例:
・動画コンテンツの詳細視聴履歴:秒単位での視聴履歴
・チャプター内ページ毎の滞在時間
・チャプター内ページ毎の参照回数
・複数あるコンテンツやクイズ問題の学習順番
・テスト不正解に該当するチャプター該当部分の提示
等
初期段階にてマイクロラーニングによりスキルレベルを測定した上でフォーマルな研修を実施し、その研修の一定期間後に個々人の忘却曲線に合わせて、再びマイクロラーニングで定着度を確認するという教育が実施できます。
LRSに記録されたデータは国際標準の規格ですので、ある人の学習経験履歴が登録された LRS①のデータを LRS②へ移動/共有させることができます。組織内異動・留学からの帰国・転職等々において、過去の学習経験データを持ち運ぶことが可能となります。