世界標準「xAPI(*1)」によるデータ連携・保存~学習成果の「見える化」と教育改善のための分析支援サービス
株式会社ジンジャーアップ(所在地:東京都墨田区、代表取締役:井手啓人)は、あらゆる学習経験を連携可能にする国際標準規格「xAPI」を活用し、 学習ログを統合・分析することで、教育現場の課題解決を支援する革新的なサービスを提供しています。
このたび、第3弾として「初等中等教育における学習ログ分析サービス」の提供を開始いたします。
1. 背景と課題
GIGAスクール構想に基づき、日本の初等中等教育のデジタル学習環境が整備され、漸次教育データ利活用の取組が進んでいます。
しかし、教育現場で日々蓄積される学習ログデータを教育改善に活用する手法や実践事例は、まだ限られています。
今後、授業支援ツールやAIドリル、アンケートツール等々を含めて多様な学習履歴関連のデータを利活用していくためにはxAPI形式のLRS(*2)に共通形式で記録して分析していくことが求められています。
2.サービス概要
本サービスでは、xAPI準拠の学習ログを包括的に分析し、以下の5つの観点から教育現場の運営を支援します。【1】学力の変容分析
教科別学力の経年推移を可視化し、全国学力・学習状況調査の全国や地方自治体の平均と比較。
学力の現状や地域ごとの傾向を把握し、教育施策の効果を評価して改善ポイントを特定します。
【2】学習意欲・態度の変化分析
児童生徒へのアンケート結果を基に、学習意欲や態度の変化とその傾向を詳細に把握。
個人やクラスごとの課題、ならびに、児童生徒のモチベーションを高めるための課題を明確化します。
また、複数年にわたるデータを活用して、長期的な学習習慣や指導の効果を検証します。
【3】生徒指導データの分析
問題行動・不登校や遅刻の推移等を詳細に分析し、全国や地域の平均と比較。課題の深刻度を把握するとともに、それぞれの要因分析を行います。
【4】学校外での学びの状況と探究的な学びの効果分析
学校外での学びの状況や探究的な学び、課題解決型学習(PBL)に関するデータに基づいて、生徒の「授業への参画度合い」や「問いをたてるちから」の分析を行います。これにより、学校教育と社会的学びの相互作用が可視化され、探究型学習の効果を確認することができます。
【5】教員の業務効率化支援
教員の校務に関するデータを分析して業務プロセスの最適化の検討が可能となり、これにより、教員が児童生徒への個別指導や新たな教育施策の計画に集中できる環境の整備を進めることができます。
3.分析結果出力の特長
◆基礎統計分析
A. 学力調査結果の可視化
① 全国・地区平均との比較
②問題行動発生率の比較(全国、市比較)
B.アンケート調査分析
① 項目別回答分布
②肯定回答率の推移(とてもそう思う+まあそう思う)
◆差異分析
① 教育改革等の実施校と非実施校との差異検定
※ 差異分析のポイント
・実施校と非実施校の平均値差だけでなく、分布の形状までを含めた詳細な比較が可能
・各グループの全国・市平均との差異を把握し、教育施策の効果を総合的に評価
・データのばらつきや偏りを可視化することで、より精緻な施策効果を検証
◆相関分析
① 生徒指導データとの関連分析
◆マップによる地域差可視化と分析
※ マップ分析のポイント
・地域ごとのデータ分布の可視化
地域間での人口変化率やその他さまざまなパラメータと平均学力スコアなどとの関係、分布等を直感的に把握
・地理的パターンと要因の検討
地理的な要因が指標の分布にどのように影響しているかを分析し、教育施策やサポートの方針立案に役立てる
4.導入メリットと今後の展望
◆指導法とカリキュラムの最適化
データに基づく授業改善:
学習ログ分析により、生徒の理解度や学習プロセスを詳細に把握し、効果的な授業設計が可能になります。
具体例:
・単元ごとの正答率分析から、つまずきやすいポイントを特定
・児童生徒の学習時間データを活用した、個別最適な学習指導
・理解度に応じた補足教材の適切な提供
効果:
クラス全体の理解度向上と、個々の児童生徒の学習意欲の維持・向上を図ることができます。
◆データ駆動型の個別サポート体制の確立
早期介入の実現:
学習データ分析により、サポートを要する児童生徒を早期に発見し、効果的な介入が可能になります。
・小テストや課題提出の傾向分析によるつまづき等の予兆検知
・学習時間と成績の相関分析に基づく個別指導計画の立案
・保護者面談での具体的データ提示による子どもの成長や学業成績向上の連携強化
効果:
データ駆動型の個別サポートにより、児童生徒の個に応じた学力向上を実現します。
◆教育DXの具現化
統合的なデータ活用:
xAPI規格により、多様な教育データをLRSに一元管理し、包括的な教育支援を実現します。
具体例:
・デジタル教材の利用状況と学習成果の関連性分析
・学習履歴の可視化による生徒の自己調整学習の支援
・校内研修でのデータ活用による指導力向上
効果:
エビデンスに基づく教育施策の立案・実施を推進することになり、教職員のデータリテラシー向上と共に児童生徒の主体的な学びを支援する教育環境を実現していくことになります。
《 今後の展望 》
◆AIを活用したさらなる分析精度の向上
高度なデータ解析を実現:
機械学習や深層学習技術を活用し、学習ログからより高度で精緻な分析を可能にします。これにより学習パフォーマンスの予測や、効果的な介入タイミングの提案が可能となります。また、個々の児童生徒の学習スタイルや目標に合わせてパーソナライズされた学習プランを提供できることになります。
◆関連システムのデータ統合強化
地域社会や高等教育ともデータを共有し、学校教育と社会的学びを融合させた新しい教育モデルの検討。
これにより、児童生徒の学びが社会とつながる実践的なものとなります。
ジンジャーアップでは、ADL(*3)の「認定LRS」として承認された自社開発のLRSの提供と共に、関連システム学習ログ等をLRSへ記録するための変換システムの提供も行います。データの変換・記録から分析レポートの出力まで、xAPIトータルソリューションとしてご支援いたします。
この機会にぜひ導入をご検討ください。
用語説明
*1 Experience APIの略称
学習者の行動に関する相互運用可能なデータ交換を可能にするための規格
*2 Learning Record Storeの略称
xAPI規格により学習ログを記録するデータベース
*3 Advanced Distributed Learning
米国国防総省内にある標準化組織
